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 「こころの病気」に精通した社会保険労務士の選び方

「こころの病気」に精通した社会保険労務士の選び方

ポイント1:
「精神疾患専門」と表示しているからといって、「専門性」が高いわけではない

「精神疾患専門の社会保険労務士」「精神疾患専門の障害年金相談室」などの表示をした、社会保険労務士のホームページを見かけることがあると思います。

そして、社会保険労務士を選ぶ際、こうしたホームページを見て、「精神疾患専門」という言葉の印象から、「こころの病気」での障害年金に関して、専門性が高いと判断される方も多いと思います。

しかし、「精神疾患専門」と表示しているから、「こころの病気」での障害年金の申請に関し、専門性が高く経験が豊富だとは必ずしもいえません。

「精神疾患専門」と表示している社会保険労務士のホームページを見ても、「なぜ精神疾患の分野の専門性が高いか」の具体的な説明書かれていません。

そもそも、「精神疾患専門」と表示するのは、専門性とは関係なく、社会保険労務士の側の事情にあると思います。

その社会保険労務士側の事情とは、精神疾患だけの依頼を受けた方が、申請件数などの点で、効率良く業務を行えることです。
また、「精神疾患専門」と表示することによって、専門性が高いという印象(イメージ)を与えることができるいうことです。

そして、「こころの病気」のみでなく、病名を問わず、すべての病気やけがを対象として障害年金の申請を行っている社会保険労務士の方が、障害年金の受給という点から見ても、望ましいものと考えます。

以下に、その理由を説明させていただきます。

①「こころの病気」での障害年金の申請件数は、他の傷病と比べ、その申請件数が一番多くなっています。

障害年金の申請を数多く行っている社会保険労務士なら、全体の申請件数のうちの半数程度は、「こころの病気」での申請であるのが一般です。

障害年金を中心業務としている、どの社会保険労務士でも、「こころの病気」の申請を数多く扱い、経験を積んでいるといえるのです。

そのため、「精神疾患専門の社会保険労務士」と称すること自体、はたして意味があるのか疑問といえます。

②障害年金の申請を進めていく上で、様々な問題が生じてくることがあります。
障害年金の受給に向け、一つひとつの問題を解決していかなくてはなりません。

それらの問題は、何も「こころの病気」の場合だけに生じるものではありません。
また、「こころの病気」の症状などに特有の問題に限られるわけでもありません。
経験したことのない、未知の問題にあたることもあります。
その際、社会保険労務士は、障害年金の受給のために、持てる知識や経験総動員して問題の解決にあたることになります。

解決にあたっては、「こころの病気」を含めた様々な病気での幅広い経験が物を言うことになります。
実際、他の病気のケースを通して、「こころの病気」にも応用できる技術ノウハウ知識を得ることができる場合があります。
具体的には、「難病」などの特殊のケース、難易度の高いケースの申請から、汎用性のある、高度な知見を得ることができる場合が多いのは事実なのです。

また、「こころの病気」に限らず、幅広い病気を対象した数多くの申請の中で、様々な問題に取り組むことになります。
その取り組みを通して、問題解決に向けた広い視点を持ち、柔軟な発想をとることができるようになります。

このように、障害年金の受給という点から見ても、「こころの病気」のみを扱っている社会保険労務士よりも、「こころの病気」を含めた様々な傷病を扱っている社会保険労務士の方が、多くの経験を通して、問題解決への選択肢を多く持つことができると思います。
そして、それぞれのケースに一番合った解決を図ることができるものと確信しています。

最後に大切なことは、「精神疾患専門」という言葉の印象だけで、「専門性」が高いと判断するのではなく、ほんとうに「精神疾患」についての専門的な知見実績・経験があるのかを、社会保険労務士を選ぶ際にはよく確認することが大切といえます。

ポイント2
「こころの病気」の場合、診断書の依頼書などの文書作成に関する社会保険労務士の役割が、他の傷病の場合と比べて、格段に重要となる。

「こころの病気」での障害年金の申請の場合、他の傷病の場合と比べて、次のような特徴があります。

それは、障害年金の審査において、「日常生活の状況」「就労の状況」が、障害年金の審査項目として、とても重視されるということです。
もう少し具体的に言うと、「日常の家事(食事、清潔保持、買い物・外出など)にどの程度の制限があるのか」、「就労することができるのか。また、就労にあたってどのような困難があるのか」ということが障害年金の審査のポイントとなるのです。

そのため、障害年金の申請代理を行う社会保険労務士の役割として、「日常生活の状況」や「就労の状況」について、本人やご家族から、ポイントを踏まえた詳細なヒアリングを行うことが、他の傷病の場合に比べて、より一層大切になります。

そして、ヒアリングの内容を基にして、「診断書の依頼書」を作成し、医師に対して、「日常生活の状況」や「就労の状況」を的確に伝えることが社会保険労務士の重要な役割となります。

さらに、「病歴・就労状況等申立書」の中で、「日常生活の状況」や「就労の状況」についての具体的な事情を書き上げ、それらの事情などを、効果的に読み手(障害年金の審査をする医師)に伝えることも大切な役割といえます。

特に、「こころの病気」の場合には、「日常生活がどの程度制限されているか」などというような抽象的な基準によって、障害年金の審査が行われます。
そのため、社会保険労務士が作成した、「診断書の依頼書」や「病歴・就労状況等申立書」の内容が、障害年金が受給できるかに直接かかわってくることになります。
この点が、他の病気やけがで障害年金の申請をする場合とことなるといえます。

このように、書類(資料)作成に関する社会保険労務士の役割は、「こころの病気」の場合には、他の傷病の場合に比べて、とても重要となることがわかると思います。

しかし、すべての社会保険労務士が、こうした文書の作成などに精通しているとは限らないともいえます。
「診断書の依頼書」や「病歴・就労状況等申立書」などの文書作成に関しては、一般に、個々の社会保険労務士の力量によるところが大きいといえます。

そもそも、社会保険労務士試験は、知識を問うことを目的としていて、文書の作成などとは全く関係がないものとなっています。
そのため、文書作成に関する社会保険労務士の「専門性」などは、それぞれの社会保険労務士の経験などによって左右される面が大きいといえると思います。

一方で、障害年金は書面審査であり、「診断書」や「病歴・就労状況等申立書」の書面内容によって、障害年金受給の可否が審査されることになります。
その意味でも、文書作成を中心とした社会保険労務士の役割は大きく、「こころの病気」の申請の場合には、他の傷病に比べて、格段に重要となるのです。

「こころの病気」に精通した社会保険労務士を選ぶにあたっては、こうした面での「専門性」があるかどうかも、重要なポイントになるのではないかと思います。
ホームページの社会保険労務士のプロフィールなどから、これまでの経歴などを確認することも、「専門性」を見極めるための参考になるのではと思います。

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