障害年金受給のポイント
(障害年金の申請前に必ず知っておくべきこと)
(1)書面審査であること
障害年金の申請をすると、年金を支給するかどうかの審査が行われます。
この審査は、「書面審査」であります。(医師が自宅などに出向いて診察をするわけではありません。)
そして、「書面審査」である以上、書面に書かれていることが全てであるのです。
常にこのことを頭に入れた上で申請を行うこと大切です。
では、具体的に何が大切でどこに注意をすればよいのでしょうか。
それはこういうことです。
障害年金の申請には、診断書、受診状況等証明書書、病歴・就労状況等申立書など多くの提出書類が必要になります。(診断書も複数提出することが多くあります。)
まず第一に、これらの申請書類の記載の間で矛盾がないことが最も大切となります。(矛盾があると、診断書などの書類の真実性が低下するなど、障害年金の審査に大きく影響するからです。)
また、必要な情報が漏らさず書き込まれているかにも十分注意しなくてはなりません。
そのためには、一つ一つの言葉や記載内容について、注意深く比較・検討する必要があります。
そこを十分に吟味せずに申請を行い、矛盾した内容の書類で申請を行ったり、必要な情報を落としてしまうと、障害年金受給の道が閉ざされてしまうことにもなるのです。
(2)行政手続であること
障害年金は、日本年金機構という行政機関に対して申請を行うことになります。
行政機関である以上、法令や通達に基づいて事務を行っています。
障害年金に関しても同様で、多くの通達や内規の文書が出されています。
これらの文書は、内容に難解な点が少なくありません。
また、法令や通達は、しばしば改正が行われて内容が変更します。
障害年金の申請を行うにあたっては、これらの内容を十分に知った上で申請をしなければ、取り返しのつかない事態に陥ることにもなるのです。
さらに、期待した審査結果が得られない場合、行政機関に対して、不服審査の申立て等をする必要がでてくることもあります。
障害年金の申請前に、これらのことも十分に念頭に置いて、慎重に申請手続きを進めることが大切になるのです。
(3)診断書について
障害年金の審査で、最も重要な位置を占めるのは医師の診断書であることはいうまでもありません。
それでは、障害年金の審査は何に基づいてなされるのでしょうか。
それは、「障害認定基準」という国で定めた基準に基づいて行われます。
「障害認定基準」は、日本年金機構のホームページに掲載され、公開されています。
(「障害認定基準」のキーワードで検索すれば、簡単に見ることができます。)
「障害認定基準」は、障害の種別ごとに書き分けられています。
障害年金の申請にあたって、まず初めに、この「障害認定基準」の該当箇所を読んで、その内容を確認しておくことが必要となります。
この「障害認定基準」の中では、「障害の程度」や「日常生活の制約の程度・状況」など、障害年金支給の基準・要件が定められています。
そして、障害年金の診断書の各記載項目も、この「障害認定基準」に対応した形式となっています。
以上を前提とすれば、障害年金の診断書のポイントとして、次の2つのことが挙げられます。
まず、1つ目のポイントについて説明していきます。
医師はカルテに基づいて診断書を記載しますが、患者の日常生活の状況について、必ずしもカルテに記録し、把握しているとはいえないということです。
他方、障害年金の診断書の中には、「日常生活の状況」についての項目があり、この項目の記載内容が、障害年金の審査では重要な評価項目になっているのです。
そうであれば、どうすればよいのでしょうか。
医師に診断書の作成を依頼をする際に、自分の日常の生活状況などをよく説明しておくことが大切となるのです。
実際よりも軽い記載内容とならないよう、正確な診断書を作成してもらわなくてはならないからです。
第2のポイントは、「障害認定基準」の内容を踏まえた診断書を作成してもらうように意識することです。
具体的には、「障害認定基準」の中の支給要件に該当する事実を、診断書に記載してもらうということなどです。
なぜなら、障害年金の審査は、「障害認定基準」に基づいて行われるからです。
このように、常にゴール(審査結果)を意識しながら、障害年金の申請をすることが大切なのです。
(4)病歴・就労状況等申立書について
この「病歴・就労状況等申立書」は申請者自身が記載するものです。
(ただし、社会保険労務士や家族が代筆することは構いません。)
医師が記載するものでなく、申請者自身が原則として書くものなので、あまり障害年金の申請には重要でないかのように思われることもあります。
しかし、それは正しくありません。
障害年金の申請においては一定の重要性があり、特に精神疾患においては相当重要といえ、十分に考えて作成する必要があります。
それでは、どのような姿勢で、この「病歴・就労状況等申立書」を作成していけばよいのでしょうか。
それは、この書類を自分で書かなければならない面倒なものとするのではなく、自分で自分自身のことを理解してもらうために作成するもの(書類)と考えるのです。
実際、自分で自分自身の障害の状態や日常生活の状況などを訴えることのできるのは、この書類だけであるのです。
そして記載するときのポイントは、端的にいうと、「できる限り具体的に書く」、「真実を自分のことばで書く」ということであるといえます。
(5)まとめ
障害年金の申請は、よく言われることではありますが、「一発勝負」であるともいえます。 その言葉の意味は、一度出された結果を、後からくつがえすことは困難であるということです。
そのため、十分な準備をした上で、慎重に手続きを進めることが必要となります。
また、複雑な年金制度の理解なども不可欠となります。
そうような中、何としてでも、しかもなるべくはやく、障害年金の受給権を取得することが求められている現実があります。
そのためには、申請の一つ一つの段階をていねいに検討していくこと、そのことの積み重ねが障害年金の受給の扉を開きます。
そして、「決してあきらめないこと」、そのことが障害年金の申請には何よりも大切であるといえます。
一見して困難に見える問題も、見方(視点)を変えれば可能性が生まれてくることが少なくありません。
障害年金の受給へ向かう道(申請方法)は一つではなく、複数の選択肢(申請方法)がありえるのです。
そして、大事なことは、申請の仕方(誰が申請するのか)によって、結果が変わることがあるということです。
当センターでは、以上のポイントを踏まえた障害年金のサポートを行っています。
行政機関での実務経験や成功事例の経験をいかしながら、時間をかけた聴き取りや制度等の説明を行っています。その上で、診断書・証明書等の依頼のサポート、病歴・就労状況等申立書の助言や代筆などを含めた、障害年金申請代理のサポートをさせていただいております。